長時間労働の問題点と是正の必要性について

近年、長時間労働による労働者の過労死、自殺などが大きな社会問題となり、事業主や業務管理責任者への責任追及、および企業イメージの低下へとつながる事例も相次いでいます。法令に基づいた健全な労働環境を整備するためにも、長時間労働の問題点と是正の必要性をもう一度考えてみましょう。

法令の定義とその内容をまとめてみましょう

  • 1.民法

    ・原則、契約(内容)は自由。
    ・労働契約(雇用契約)も契約(の一種)であり、労働時間の定めをする/しないを問わない。

  • 2.労働基準法

    ①法定労働時間
    ・原則、1日8時間以内、かつ、1週40時間以内。
    ・変形労働時間制においても変形期間を平均して1日8時間以内、かつ、1週40時間以内。

    ②三六協定
    ・法定労時間を越える労働時間は違法。ただし、三六協定を会社と労働組合代表(または従業員代表者)が締結し、事業所所在地の管轄労働基準監督署長に届出すれば違法にはならない。

  • 3.特別条項付き三六協定

    ・特別の事情が生じたときに、限度時間を超えて延長することができる。ただし、1年の半分を超えない臨時的事情に限られる。(→1年間に最大6ヵ月間)
    ・限度時間を超えて延長できる時間の定めがない。(事実上、青天井)。

延長できる労働時間の限度(平成10年労働省告示154号)

期間一般の場合の限度時間1年単位の変形労働時間制の場合の限度時間
1週間 15時間 14時間
2週間 27時間 25時間
4週間 43時間 40時間
1ヵ月 45時間 42時間
2ヵ月 81時間 75時間
3ヵ月 120時間 110時間
1年間 360時間 320時間

長時間労働の問題点とは?

(睡眠時間の減少に伴う)心身への影響

  • 1.体への影響

    ・ストレス反応(血圧上昇、耐糖能低下、血小板機能亢進、凝固系機能亢進)を生じさせ、脳・心臓疾患を増加させる。
    ・週60時間以上の労働は、心筋梗塞の発症率を2.4倍に引き上げ、1日5時間以下の睡眠は脳・心臓疾患の発症を1.8~3.2倍上昇させる。(→働き盛り世代の突然死の原因)
    ・長時間労働に喫煙・飲酒が加わることによって、リスクは高くなる。

  • 2.メンタル面への影響

    ・睡眠不足はネガティブ思考を強める傾向があり、それも仕事の処理能力を低下させる要因となる。さらに長時間労働による疲労・ストレスの蓄積・対人関係のトラブルが重なった場合、うつ病や不安障害を発症するリスクが高くなる。
    ・うつ病になると思考力が低下、意欲が低下し自信を失う。最悪の場合、仕事の能率の低下にとどまらず「みんなに迷惑をかけて申し訳ない」「自分は生きている価値がない」と思い込み、自責の念から自殺にいたる。

長時間労働と労災認定について

厚生労働省「脳血管疾患及び虚血性心疾患(負傷によるものを除く)の認定基準」(H13.12)

時間外労働時間(1ヵ月当たり)業務と発症との関係
発症前1~6ヵ月間にわたり概ね45時間以内 関連性が弱い
発症前1~6ヵ月間にわたり概ね45時間を越える 関連性が徐々に強まる
100時間を越える、または、2~6ヵ月間にわたり概ね80時間を越える 関連性が強い

従業員に脳、心臓疾患の症状が出た場合で、上記基準に照らしあわせて発症の直前に長時間労働の実態が認められれば、疾患と長時間労働との関連性が深い、つまり、因果関係を認め労災と認定される傾向が強くなっています

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